由来 

ターコイズという呼称は、フランス語の pierre turquoise (トルコの石)に由来します。

トルコ石とも呼ばれることから、トルコが原産国だと誤解される事が多いのですが、この石が貿易でトルコを経由してヨーロッパ全土へと広まり認識された事から、通称がトルコから運ばれてくる石「トルコの石」と呼ばれるようになったのです。

実際にはエジプト北東部シナイ半島、イラン、中央アジア、中国、オーストラリア、中南米、アメリカ南西部で採掘されており、最も歴史が古い採掘地域がシナイ半島と言われています。

紀元前3000年頃の古代エジプト以前より採掘されており、ツタンカーメンの墓からもターコイズを施した装飾品が出土しています。

また、古フランス語で「トルコの」を示す形容詞"turquoise"と言う語句そのものが、青色の色味それ自体を意味する言葉にもなっていました。

成分

ターコイズは、水化銅とリン酸アルミニウムを成分とする水酸化銅アルミニウム燐酸塩であり、化学式ではCuAl6(PO4)4(OH)8・4H2Oと表記されます。

ターコイズは何万年もの永い時間をかけて生み出されます。

乾燥した大地に降り注いだ雨が、大地によって濾過されながら浸透し、構成される他の成分と濾過された水とが合わさり、少しずつ生成されていきます。

稀にターコイズは仮晶として長石、燐灰石、他の鉱物あるいは化石等と入れ替わることがあります。骨トルコ石は、化石の骨あるいは象牙が入れ替わったものです。

ターコイズが生成される過程で、他の鉱石を囲む様にターコイズが生成されることで模様となり、それらを「マトリックス」と総称します。マトリックスは、ターコイズの土台になる母岩と呼ばれるベースの鉱石によって色味が変わります。

蜘蛛の巣状のマトリックスは「スパイダーウェブ」と呼ばれ、希少価値が高い個体となります。鉱石とターコイズが、均等な蜘蛛の巣状に生成されることでのみ生み出される偶然の産物です。

「母岩」とは
ターコイズ生成に必要な元素を含む鉱石に、濾過された水が浸透して結晶化します。その元となる鉱石を母岩と呼び、鉱石に含まれる構成成分によりターコイズの色味に個体差が生まれます。

模様の入り方により呼称が変わります。

蜘蛛の巣状の模様
「スパイダーウェブマトリックス」

黒色の模様
「ブラックウェブマトリックス」

赤色の蜘蛛の巣状、赤色の模様
「レッドウェブマトリックス/レッドマトリックス」

青色の蜘蛛の巣状、青色の模様
「ウォーターウェブマトリックス/ウォーターマトリックス」

金色の蜘蛛の巣状、金色の模様
「ゴールドウェブマトリックス/ゴールドマトリックス」

母岩や混ざる鉱石によって模様の入り方、色味が変わり、希少性や個体価値へと影響していきます。

ターコイズの色味は含まれる要素によって変化します。

銅---群青、濃青〜青、水色
鉄---深緑〜緑、青緑
亜鉛---アップルグリーン、エメラルドグリーン
アルミニウム---淡い緑、淡い青(白色がかった色合い)

銅が多く含まれることで青みが強くなり、鉄や亜鉛が含まれることで緑色がかっていきます。
構成物質の割合が変わることでターコイズではなく、別名がつくようになります。

硬度

モース硬度を尺度とします。

ダイヤモンド:10
ルビー、サファイア:9
トパーズ、スピネル:8
ガーネット、クォーツ:7
オパール、ラピスラズリ:6
アパタイト、黒曜石:5

良質なターコイズ:5
ターコイズ、大理石:2-3

多孔質な構造で硬度が高いものは稀です

ターコイズの採掘形状は、主として以下の3種類に分類されます。

①塊状/ナゲット
地中にて塊状で生成。厚みがあり、大きさもあるものが多く取れる。大半のものが、このナゲットで採掘される

②脈状/ベイン
岩中の裂け目を埋める様に、薄く不規則な線状で生成。採掘後の加工が難しく、市場には殆ど出回らない。

主に脈状で採掘されるターコイズは、薄く細い状態でしか採掘されない。特徴としてジグザグの形状をしている為、表面が大きく見える様に切り出すことが難しく、薄く割れ易いこともあり、やはり大きなサイズで使用できる個体は少ない。

一方で、表面がガラス質で艶のある色味の濃い個体も極稀に採掘される。脈状の大きなターコイズルースは、市場では非常に高値で取引される場合が多い。

③化石ターコイズ/Fossil Turquoise
生物等、化石に銅分が浸透し、そこに水が加わることでターコイズの成分と入れ替わっていく。

通常は、石理や裂け目を埋める形で団塊状、または葡萄の房状ですが、鍾乳石状のものも存在します。

ターコイズは多孔質の為、表面に小さな凹凸を多数持ちます。(多孔質:表面がスポンジの様に穴が多く、光を反射させる面が少ない)
密度が無い物は、表面の凹凸が多く、磨いても光沢を反射する面が少ない為、ガラス質の艶感、光沢感が出ません。また、表面の孔に油脂や汚れが浸透して変色の原因となります。
密度が有る物は、表面の凹凸も少なく、不純物が浸透し難い為、変色も少なく、磨くことでガラス質の艶、光沢が生まれます。

加工

天然のままで使用可能な個体は、採掘される全ターコイズの内、およそ10%にも満たない極僅かな量です。

90%以上のターコイズは硬度が不足しており、カット、研磨に耐えることが出来ずに砕ける、割れることとなります。
また密度も十分ではなく、艶や光沢が無い為にジュエリーとして使用出来るレベルに達しません。

天然のままで使用可能な個体は、僅か10%程度。
その中でも、ハイグレードと呼ばれるターコイズは1%にも満たないのです。

鉱山主は莫大な費用を投じてターコイズを採掘します。
しかし、極めて僅かな量しか販売に至る品質を持ったターコイズは採掘出来ません。そこで、商品として使用出来る物にする為に加工を施します。

①Stabilized
エポキシ樹脂、液体プラスチックを高圧注入することにより、ターコイズ表面のミクロの穴を埋めて硬度のみを補強。ワックスを浸透させて色濃くする場合もある。

②Enhanced
加工により硬度をあげる

ニューメキシコ、アリゾナの州法に於いては、上記二つはナチュラルと表記されます

③Reconstituted
ターコイズを粉末状にしてから、再度固めた物

④Imitation
プラスチックやガラスを用いて、ターコイズを模して人工的に作られた物

天然の無加工ターコイズは自然鉱石の為、水分や油分を吸着し、変色します。
スタビライズ処理は強度を増し、色味も濃くなるのでメリットもあります。

気を付けなければならないことは、ターコイズ全体を染色したり、人工的に模様の染め等の加工を施したスタビライズされた個体がナチュラルターコイズとして販売されているケースです。

取り扱い

油分、洗剤、クリーナー等に触れさせない。

触れてしまった場合は、乾いた綺麗な布等で強く押しつけたりせずに、優しく拭き取ってください。

主成分は大地に浸透した水分で生成される石です。濾過された様な純粋な水で汚れ等を洗い流し、最後に水分を拭き取ってください。

最初に汚れ等を拭き取らずに水に浸けてしまうと、汚れがより深部に浸透する可能性があります。まずは汚れだけを先に拭き取り、その後で水ですすいで拭き取る様にしてください。

日常の中でターコイズを身に着けたままの生活や睡眠、海に入る、洗い物や入浴、整髪料等に触れた手で触ることで酸化の原因になります。

付着した油分や不純物が経年とともに黒ずみや変色の原因となっていきます。一度浸透してしまった油脂や洗剤、有機物等の不純物は完全に取り除くことは出来ません。

ターコイズは天然の鉱石です。金属等とは異なり、必ず隙間があり水分が浸透していきます。その浸透した細かな有機物、油分等が酸化していき変色の原因になります。油分や水分からは、出来るだけ遠ざける様にしてください。

純粋な水分だけであれば、研磨作業にも水は使用されるので問題ありません。ジュエリーとして完成された物は、乾いた綺麗な布で、擦らずに水分を拭き取る様にしてください。

ジュエリーとしてターコイズを石座に留める際、乾燥した藁の様な物をターコイズ下に衝撃吸収材として敷いています。
この「おがくず」は水分の吸収、乾燥を繰り返し、ターコイズの湿度管理に於いて重要な役割を果たします。十分な乾燥が行われずに湿った状態が続くとおがくずは腐敗し、ターコイズと石座に隙間が生まれ、ぐらつきの原因となります。水分からは遠ざけて使用ください。

日々僅かな振動、少しの衝撃を与え続けることによって、ターコイズも確実に劣化します。
神経質になる必要はありませんが、ターコイズに触れてぐらつきを感じられましたら、早めに調整することをお勧めします。